最終章 花の匂ひ |
薄紅の花の香匂い立つ まといてみらば 闇をも蹴散らす |
秘めやかに息を潜めてみるがよい 高き鼓動は真なり |
白く淡く溶けるよに 花で満ちたその身をあずけ |
いろはにほへど 恥らうばかり 散り急ぐかのやうに |
夢を紡ぐ ひとつ ふたつ と数えながら |
咲き匂う花に 全てを雪ぐよに |
静寂の中 降り積もるよな妖しき呟き 冴えわたる |
懐かしくさえ思える 燃ゆる想いを感ずれば 心して近づかんや |
消えない記憶たち 憂いか 哀しさか 眠りについて 夢に問う |
第六章 春霞み ← BACK |
春爛漫を告げし 桜の花びらよ |
花の命は短くて とは よくぞ申したもの |
冷たき 雨、風に ひとひら ふたひらと 枝先から消えゆかん |
されど風に立ち向かう この花びら 震わせながらも散ることはない |
いつの日も響け 愛する者に想い伝われ 深く切なる想い |
力尽きぬ前に その身で 伝えたまえ 愛しき者へ |
完 |